屋外広告士試験合格に向けて⑲ 設計・施工 袖看板の劣化・点検  -不自然に挿入される用語にまどわされるな!

屋外広告物点検技能講習が始まってから、屋外広告士試験の問題に点検に関する設問が必ず1問入るようになりました。直近8年連続で出題されています。その理由は、屋外広告士は点検技能講習を受けていなくても、有資格者として点検ができるため、点検の知識も必要だからです。一方、点検の問題は比較的容易で、落としてはならない問題の一つです。

問8(令和5年度)突出広告板の劣化等が起こりやすい箇所に関する記述として、適切でないものはどれか。

1.ブラケットカバーは、水抜き孔を設けていない場合、結露水や隙間から侵入した水の滞水によって腐食が起こりやすい。

2.ブラケットカバーの変形や外れは、振動によるビスのゆるみ・脱落、衝撃等によって起こる。

3.アクリル板による表示面板の変形(たわみ)は、熱や吸水による膨張・収縮によって起こる。

4.防水のため充填されたスラグの劣化は、紫外線、熱、雨水等によって起こされる。

この問題は、袖看板の蛍光灯交換やLED化作業を行っている人には、かなり優しい問題だと思います。ある1点を除いて。正解は4です。

1は実際によくあるケースで、水抜き孔(穴)が開いていないか、穴が小さくて苔などでふさがっている場合です。雨水の逃げる場所がなく、ずっと溜まったままになり、ひたすら鉄骨は腐食していきます。

2も実際によくあるケースで、風圧の強弱や建物の振動などで次第にビスが緩んできて、ブラケットカバーがめくれて落ちそうになっているのを見かけます。

3についても、アクリル板はとにかく熱による膨張が著しく、真夏の昼と真冬の明け方で1mにつき4mm程度伸び縮みがあります。ですから正面電飾看板のアクリル板を冬場フチ一杯に詰め込むと、夏に膨張でベコッと凹み、冬になってもその凹みは直らずにかなりみっともない看板になってしまうのです。また、アクリル板は吸水して膨張もします。

さて、ある一点というのは、用語違いのことです。4のスラグは溶接時に金属表層にできるカスのことで、全く場違いです。ここにはコーキング(シーリング)材の用語が入ります。スラグの意味がわからないと、一気に錯乱して1~3のどれかを選んでしまうことがあるのです。ちなみに、このように不自然に間違えた用語が唐突に入った問題が毎年1問程度出ますが、なぜかスラグとスラブ(鉄筋コンクリート造の床部分のこと)がよく使われます。