看板の点検をする際に注目すべき最も大切な素材2つと言えば、何だと思いますか?それは、アクリル板と鉄です。そこで今回は、設計・施工の問3あたりによく出てくるプラスチック・金属素材の問題について解説します。
問3(令和3年度)次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1.熱を加えると固まる合成樹脂を熱可塑性樹脂という。
2.ステンレスは、使用条件や環境によって錆びることがある。
3.弾性範囲内であれば、鋼材に荷重をかけてひずみを生じても、荷重を取り去ればひずみは残らない。
4.鋼材は不燃材であるが、耐火性はない。
過去問をしっかり解いてきた受験生にとって、この問題はサービス問題と言って過言ではないでしょう。正解は1です。1の熱を加えると固まる合成樹脂は熱硬化性樹脂で、ほぼ毎年出題されています。熱を加えると柔らかくなる合成樹脂が熱可塑性樹脂です。ちなみに、樹脂とはプラスチックのことです。熱可塑性樹脂には、アクリル樹脂・塩化ビニル樹脂(塩ビ樹脂)・ポリカーボネート樹脂があります。皆さんよくご存じの樹脂です。一方、熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂・エポキシ樹脂・メラミン樹脂があり、看板関係ではあまりなじみのない素材です。
2の設問ですが、ステンレス素材そのものは錆びません。砂やほこりがステンレス素材に付着した場合、その中に含まれる鉄分が錆びるのです。ですから、少し微妙な表現とも言えますが2は適切と判断します。
3は、先月解説した弾性限度と類似しています。弾性範囲を超える荷重をかけて曲げるとプラスチックは元には戻らず曲がったままになります。つまりひずみが残ります。
4の設問も良く出題されます。不燃材は非常に限られた素材で、石・ガラス・鉄(金属)などが代表例です。ここで大切なのは、鉄は不燃材ですが火事発生時に建物の躯体であるH鋼がグニャっと曲がるケースがあり、耐火性は低く容易に変形するということです。ちなみに、0℃以下では鉄は脆くなるという出題も良く出ます。一方、樹脂はそもそも石油(ナフサ)から製造されているので、不燃どころか可燃材です。難燃材になるのもの非常に難しいのです。