設計・施工15問中、最初と最後の2問ずつ(問1,2,14,15)の4問は計算問題で、中央の11問が暗記問題というのがほぼ毎年の傾向であることは述べましたが、今回は問4か5のあたりに出てくる応力とひずみの問題について解説します。ちなみに、問3~7の問題は比較的正解しやすいので、落としてはいけないとも言えます。
問5(令和元年度)空欄に入る組み合わせとして、正しいものはどれか。
応力が小さい時は、応力度とひずみ度の関係は直線的な(a)関係に近く、弾性限度内にあれば、力を取り去ると変形も元に戻ってひずみを残さない。この(a)関係の比率を(b)係数という。(b)係数が大きいほど変形は小さく(c)材料であるといえる。
(a) (b) (c)
1. 比例 脆性 硬い
2. 相関 弾性 軟らかい
3. 相関 脆性 軟らかい
4. 比例 弾性 硬い
物に力をかけて引っ張ると伸びていきます。その時の力を応力と呼び、伸びをひずみと呼びます。例えば水あめを引っ張ると、簡単にいくらでも伸びていきます。一方、せともの(陶器)を引っ張ってもほとんど伸びません。それどころか、ほぼ伸びずに割れてしまいます。それら材料の特性を応力ひずみ曲線というグラフで表現します。グラフの最初の直線的な部分の傾きを弾性係数(ヤング係数)と呼びます。その傾きが鋭角(大きい)であるほど硬い材料と言えます。ですから、水あめの弾性係数は低く、せとものの弾性係数は高いということになります。
設問中にある弾性限度というのは、伸ばしても元に戻る限度という意味で、それを越えると伸びたものが戻らなくなります。例えばプラスチックの下敷きを軽く曲げても戻りますが、力を入れて折り曲げると元に戻らなくなった経験はありませんか。それが弾性限度です。
従いまして、正解は4です。水あめのような材料を延性材料、せともののような材料を脆性材料、そして鉄のように曲線のバランスが良い粘り強い材料を靭性材料と呼びます。