屋外広告士試験合格に向けて④ 屋外広告物法1問目

前回は、ここ8年の法規の試験の出題傾向についてお話をしました。最初の5問が屋外広告物法、次の4問が屋外広告物法ガイドライン、そして残りの6問が関連法規で、景観法、建築基準法、道路法、建設業法、労働安全衛生法、行政代執行がほぼこの順番で1問ずつ出題されると述べました。

それでは、今回は具体的に問題を解いてみましょう。こちらは、令和3年度の法規15問のうちの最初の問題です。全て問題は4択です。

問1 屋外広告物法にいう屋外広告物に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 屋外に設置された棚に差し込んで公衆に表示されているパンフレットは、屋外広告物に該当しない。

2.ベニヤ板にペンキを塗りたくってあるもので、そこに何らの概念やイメージが示されていないものは、屋外広告物に該当しない。

3.街頭で公衆に配布されるスーパーマーケットのチラシは、屋外広告物に該当する。

4.道路に向けて建築物の外壁に設置された、営利を目的としない内容の看板は、屋外広告物に該当しない。

専門知識がなくても、恐らく何となく答えがわかるのではないでしょうか。正解は2です。何の概念もイメージもなければ屋外広告物ではありません。でも、いざ試験に臨むとそれが揺らぐのです。ちなみに問題は全て4択なのですが、適切なものはどれかというのと適切でないものはどれかの2種類があるので混乱しないように。

1はどうでしょう。屋外広告物法第2条に、屋外広告物とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものという記述があり(屋外広告物の知識第五次改訂版のP11参照)、棚に入っているので該当します。棚じゃなくて配っていたら常時とは言えないので該当しません。ややこしいですよね。ですから3は、チラシを配布しているので一定の期間とは言えず該当しないのです。でも、一定の期間ってどれくらいなのかは屋外広告物法には書いてないのです。法律って結構いろいろ解釈できるようにできているのです。グレーゾーンがあるのが法律と言えます。

4はどうでしょう。これは、ぐらっときますよね。営利を目的というのが。でも営利とか非営利とか関係ないのです。建築物の外壁に設置されていれば一定の期間継続していると判断されるので屋外広告物なのです。

さあ、いかがですか。これ、法規の問題でほぼ一番簡単な問題です。でも、掘り下げていくと意外におもしろいと思いませんか。法律用語は難解ですが、奥が深いです。例えば公衆というのは一般の人を意味するのですが、ディズニーランドの園内にいる人は、その施設を楽しむ目的を持っている人なので公衆ではありません。また、JRの駅構内にいる人も、電車で移動するという特別な目的を持っている人なので公衆ではありません。従って、この施設内の人にしか見えない屋外広告物は、屋外広告物法の規定の範囲外となります。

次回は、ガイドラインの設問の解説を行います。あと、屋外広告物の知識は法律編で2700円もしますが、やはり持っていた方が良い感じがします。アマゾンでも購入できますが、最新の第五次改訂版を購入してください。