屋外広告士合格に向けて⑥ 関連法規(建築基準法・景観法・道路法・建設業法・労働安全衛生法・行政代執行法)

法規試験は全部で15問ありますが、前々回は屋外広告物法(1-5問目)、前回はガイドライン(6-9問目)からの出題を解説してきました。今回は、残りの6問(10-15問目)である関係法規の解説を行います。出題傾向としては、A建築基準法、B景観法、C道路法、D建設業法、E労働安全衛生法、F行政代執行法の順番で1問ずつ出ることが最も多いです。ときどきその順番が入れ替わったり、複合問題が出ることもあります。建築基準法と行政代執行法は比較的勉強する範囲が狭いです。それでは、令和2年に出題された複合問題を解いてみましょう。

適切なものを選んでください(一部抜粋)。

  • 建築基準法上、高さが4メートルを超える広告塔の所有者は、常時適法な状態に維持するように努め、義務に反した場合の罰則が規定されている。
  • 道路法上、許可を受けて道路に工作物を設けて継続的に道路を使用している者は、その構造を変更しようとする場合、軽易であるか否かに関わらず、道路管理者の許可を受けなければならない。
  • 建設業法上、建設業の許可を受けた建設業者は、受けていない建設業に係る建設工事を請け負うことはできないが、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合には、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。
  • 行政代執行法上、代執行のために現場に派遣される執行責任者は、自身が執行責任者であることを示す証票を携帯し、要求があるときは何時でもこれを呈示しなければならず、その義務に反した場合の罰則が規定されている。

正解は③ですが、これがわかる人はほぼいないと考えて良いでしょう。読む気がなくなるような文章ですよね。この設問は、消去法で解いていく問題となります。建設業法は、建設業の許可がない一人親方の小さな工務店から、大手ゼネコンまで、建設業者に関してそれらの元請け・下請けの関係、工事の契約金額などに関する法律です。今回の設問は非常に難しく、屋外広告の知識法令編建設業の許可304ページに記載してありますが、熟読しない限り理解できません。

①の建築基準法ですが、義務に反しても努力目標なので罰則は規定されていません。なんとなく文脈から罰則はないなと判断できますね。建築基準法では、4mを超える広告塔は建築前に建築確認を受け、建築後にも検査を受けるという問題が必ず出ます。また、防火地域では高さ3mを超える広告塔は主要な部分を不燃材料で造るか覆わなければならないという問題も必ず出ますので、この二つは今覚えることをオススメします。

②の道路法ですが、軽易なものに許可は不要です。これも文脈から予想がつきます。ちなみ  に、道路の上を走るモノに関する法律は道路交通法で、道路の上に設置するモノに関する法律が道路法です。道路上に広告塔を設置する場合の標識との位置関係や、道路占用に関する出題が多いです。

④の行政代執行法ですが、証票を携帯していなくても罰則までは規定されていません。これも、文脈から判断します。行政代執行法は、例えばゴミ屋敷の場合には事前に何回も文章等で警告をし、最終的に行政が撤去をするときなどに適用されます。できるだけ、ゴミ屋敷当事者に配慮をしてからの施行となります。問題を解くときのコツは、施行される側の当事者に優しいと考えると良いでしょう。

こちらで、法規の解説は一度終了します。次回は、設計・施工の出題傾向について解説を行います。