屋外広告士試験合格に向けて㉚ 屋外広告物に使われるプラスチック材料

屋外広告士試験合格に向けて㉚ 屋外広告物に使われるプラスチック材料

-問題に出る材料は主に4種類しかない!-

父の跡を継いで看板屋になる前に、私は三菱レイヨン(現三菱ケミカル)という素材メーカーでアクリル板を中心に研究開発の仕事を10年以上行っていました。当時は、ファミリーマートのファサード看板の緑と青の部分は乳半成形板に色板を貼っていたのですが、泡の入らない面接着の指導をしたり、KFCのカーネルサンダースさんのあごひげ下部が立体成形で板厚が薄くなり台風等で割れてしまうため、その成型方法を検討したりしていました。

今回は、前職の業務にも関連がある屋外広告物に使われるプラスチック材料を取り上げてみました。直近5年では、令和2年の17問目と令和3年の18問目に出題されています。ちなみに、設計・施工の方でも類似問題が出ています。

【問18】屋外広告物の表示面に使用されるプラスチック材に関する記述として、適切なものはどれか(令和3年度)

  1. アクリル板は熱による収縮がほとんどないので薄い材を使用することが可能であり、広告物全体を軽量化することができる。
  2. 塩化ビニール樹脂はアクリルに比べて柔軟性があるが、燃えやすく電気絶縁性が弱いために、照明を内蔵する屋外広告物には不適である。
  3. ABS樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、成形性にすぐれ、切り文字や箱文字の基材として用いられている。
  4.  4.ポリカーボネートは、耐衝撃性や透明性にすぐれるが、耐熱性におとるために、直射日光   をうけて夏季に高温となる屋外の環境には不適である。

いかがでしょうか?正解は、3です。まず、1のアクリル板ですが、熱による収縮は非常に大きく、例えば高さ2mの袖看板に使われるアクリル板は、30度の寒暖差で縦方向に4㎜変化するのでそれ以上のクリアランスが必要になります。ちなみに、吸水によっても伸びます。続いて2の塩化ビニール樹脂は、燃えにくくて電気絶縁性が高いため、かつてはネオン管のカバーなどにも使われていました。次に3のABS樹脂ですが、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの略称で、ブタジエンとスチレンは簡単言うとゴムのような素材です。従いまして、耐衝撃性や成形性が高いのが特徴です。一方、ゴムなので透明性は低くなります。最後に4.のポリカーボネートですが、こちらは耐熱性が高く、アクリル板に次いで透明性が高く、特筆すべきは耐衝撃性で、傘で思いっきり突いても割れないので、場合によってはいたずらされることの多い飲食店のスタンド看板に使われたりします(値段はアクリルより高いです)。

素材としては、以上の4つが主に出題され、まれにポリウレタンやポリエチレンが出ます。屋外広告の知識第四次改訂版デザイン編162ページに記載があるので、是非ご確認ください。